ごじゃはげ

日記と雑記とみじかい創作

【お知らせ】文學界 2022年12月号

発売中の『文學界』2022年12月号に拙作「ふくらはぎ」が掲載されています。

もともとは『閑窓 Vol.5』という同人誌に寄稿した作品でしたが、このたび2022年下半期同人雑誌優秀作に選出されて転載されるはこびとなりました。

やったね!

よろしくお願いします。

 

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文体の舵をとる②

練習問題② ジョゼ・サラマーゴのつもりで
一段落~一ページ(三〇〇~七〇〇文字)で、句読点のない語りを執筆すること(段落などほかの区切りも使用禁止)。

 やってまいりました本日セール最終日ご案内させていただきますのはこちらの世にも稀なる洗濯機いやいや洗濯機なんていらねえよ家に一台あればじゅうぶんよなんてことをおっしゃるお気持ちわかりますええわかりますしかしご覧くださいこの洗濯機はなんとも愛らしいまあるいフォルム一見すると現代アートの奇抜なオブジェのようでもありアンティークなデザイナーズチェアのようでもありやわらかなふくらみはまるであらたな命の誕生すら思わせる神秘的ですばらしい外観をしておりますがご覧いただきたいのは内装でございますはいそのとおり洗濯機の中のことを内装とは普通申しませんがあえて内装と呼ばせていただきますと言いますのもこちらはお客様に入っていただく仕様の洗濯機だからでございますお客様が洗濯されたいお洋服をお召しになりましたままこちらにすぽんと入っていただきまして内から扉をぱたんとしたのち右手側にありますボタンをぽちんと押していただきますとあら不思議たったの二分三十秒で洗濯から乾燥までが完了となりますお試しになりたい方はいらっしゃいますかはいはいはいはいではそちらのはいそちらの男性のお客様どうぞどうぞこちらへいらしていただいてはいお履物は脱いでいただいてそうです申し訳ございません靴はお洗濯不可となりますそれにあれでございます靴を履いたままですと中がキュウクツになってしまいますのでふふふふふふふふふおや面白くなかったでしょうか左様でございますかおかしいですねいつもはけっこうウケるんですがまあそんな日もございますああはいはいそれは大丈夫でございます洗剤は不要でございますこちらの洗濯機はお客様のセンザイ能力でお洗濯するというのがウリになっておりますのでふふふふふふふふふすぽんぱたんぽちん

【お知らせ】文学フリマ東京『破滅派17号 小説の速度。』『閑窓Vol.5 道辻を灯す』

5/29に開催された文学フリマ東京に参加してきました。

 初参加。
人と本の多さに圧倒されつつ、これまでSNSでしかお話したことのなかった方や画面で見ていただけの方にご挨拶ができてよかったです。

文フリで販売された本がオンラインでも購入できるようになったのでお知らせをば。

『破滅派17号 小説の速度。』

破滅派の最新号、今回は〈小説の速度〉をテーマに同人たちが創作・評論・対談したものが掲載されています。
私は「しゃべるのがおそい」という短編を寄稿しました。おそいタイトルのはやい小説を目指して書いたもので、はやい小説のダメ(と一般的に言われているイメージのある)オチをあれこれ詰めこんでいます。
ちなみに文フリ会場では来月発売される単行本、斧田小『ギークに銃はいらない』佐川恭一『シン・サークルクラッシャー麻紀』がそれぞれ先行販売されました。
私も一足先に入手したので、読むのが楽しみです。

『閑窓Vol.5 道辻を灯す』

架空の商店街を舞台にしたアンソロジー、私はクリーニング屋の女店主が主人公の短編「ふくらはぎ」を寄せました。
ご依頼いただいたのがうれしかったので、かなり気合を入れて書いた力作です。気に入っている作品なので、たくさんの人に読んでほしいな。
装丁もコンセプトも素敵な一冊。お誘いくださった閑窓社の瀬戸千歳さん、どうもありがとうございました。

文体の舵をとる①

昨年ちょっと話題になった本、『文体の舵をとれ ル=グウィンの小説教室  』。

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いわゆる小説の指南書で、章ごとに〈練習問題〉がついています。
去年買っていたんだけどちょっと読んで放置してしまっていて、あとこのブログも最近放置してしまっている……ということもあり、今さらながら〈練習問題〉をやってみようと思ったのでした。とりあえず今日は練習問題①を。太字はタイトルだけど、今後毎回練習問題の作品にタイトルをつけるかは決めていません。

 

練習問題① 文はうきうきと
問1 一段落~一ページで、声に出して読むための語り(ナラティヴ)の文を書いてみよう。

 ようこそ、アンクル・ピカンタ

 むこうから歩いてくるのは誰かって? あれはさ、僕の伯父さんで、アンクル・ピカンタって呼ばれてる。アンクル・ピカンタはいつもご機嫌。鼻歌まじりにやってくる。やあこんにちは、やあどうも、今日はすてきなお天気ですね。そうして会う人、会う人みんなに挨拶しながらのんびり歩いて、僕のうちまでやってくる。僕はアンクル・ピカンタが大好きだから、彼がベルを鳴らすやうさぎみたいに駆けてって、玄関のドアを開けて言う。ようこそ! アンクル・ピカンタはまるくてつやつやの顔で僕を見おろし、大きくなったねえと言いながら、帽子をとってほほほと笑う。僕もつられてほほほと笑う。
 パパもママもアンクル・ピカンタのことが大好き。到着早々、お待ちかねのティータイム。ママが焼いたブルーベリーパイはアンクル・ピカンタの大好物。切り分けられたパイからは、みずみずしい臓物みたいにブルーベリーの実がわんさとあふれだしている。口のまわりをブルーベリーソースで汚しながら、アンクル・ピカンタは手掴みでそれをがつがつ食らう。ママはにこにこしながら、アンクル・ピカンタの前におかれた薔薇模様のティーカップに紅茶のおかわりをたっぷりそそぐ。パパはアンクル・ピカンタと共通の趣味であるガーデニングについてあれこれしゃべる。今年は薔薇が豊作で。パパはティーカップを見ながら思いだしたように言う。白いの赤いの黄色いの、いろんなやつが咲きましたよ。アンクル・ピカンタはほほほと笑う。それはすばらしいですね。パパは得意げに、だけど謙遜しながらこたえる。いやいやアンクル・ピカンタの庭には負けますよ、うちの庭なんて、ねえ。ねえ、と言いながらママを見る。ママは、ええ、ええ、そうですともとうなずく。
 僕はアンクル・ピカンタの真似をして、手をべたべたにしてブルーベリーパイを食べながら、うちにある庭について考える。うちにあったかもしれない、薔薇がたくさん咲いている美しい庭について考える。窓から見える草がぼうぼうの、崩れた塀と誰かが放り棄てて行ったテレビと破れた傘が放置してあるあの庭じゃない、庭について考える。でもそれにはすぐ飽きて、アンクル・ピカンタにこの後見せる絵のことを考えはじめる。アンクル・ピカンタはきっとブルーベリーパイで甘ったるくなった唾をたくさん飛ばしながら、僕の絵を褒めてくれるだろう。やあ才能だ、才能があるね。なんて言いながら。目の前で豚みたいにお皿に顔を埋めながら、アンクル・ピカンタは三切目のパイをむさぼっている。アンクル・ピカンタがげっぷまじりにほほほと笑うたび、ママもパパも僕もうれしくなってほほほと笑う。

【お知らせ】たまゆらのこえ: 超短編小説アンソロジーvol.2

4月2日配信開始の『たまゆらのこえ: 超短編小説アンソロジーvol.2』に「こぶ男」「魔術」「ラフレシア」の3作を寄稿しました。

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Amazonではもう予約開始になっているもよう。
寄稿作はいずれもブログで公開済みの200~300字の超短編小説です。
前作(『てのひらのうた: 超短編小説アンソロジー』)に引き続き、イラストレーターの佳嶋さんによる装画がとても素敵です。

よろしくお願いします。

地球の歩き方カレンダー

が当たった。
地球の歩き方』と『ムー』のコラボ本(『異世界の歩き方』)を買ったとき、読者アンケートに答えると抽選でプレゼントがあるとのことだったので応募していたのだった。すっかり忘れていた。こういうプレゼントが当たった経験があまりないのでうれしい。デスクの横に貼った。

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地球の歩き方』といえば、大学時代アルバイトをしていた喫茶店の、常連客の男性が『地球の歩き方』をつくっている人だった。私はその店で四年間働いて、卒業と同時に辞めることになったのだけれど、そのときそのひとが卒業祝いとして『地球の歩き方』を一冊プレゼントしてくれた。背が大きくて物静かで、いつもカウンターの同じ席に座っているひとだった。「どこでも好きな国のものを」と言ってくれて、私は一度だけ行ったことのある、また行きたい、また行くだろうと思っている国をリクエストした。
あれから十年以上がたったけど、結局その国にはまだ再訪していない。そのひとにもそれきりお会いしていない。当時すでに六十近かったと思うのできっともうお仕事は引退はされているだろうけど、お元気でいてくれればいいなと思う。