ごじゃはげ

日記と雑記とみじかい創作

【100w novel】ラフレシア

 ヨウちゃんは世界一くさい花の話をした。世界一くさくて、世界一大きい花が南の島に咲いている。南の島ってどこと訊ねたら、ボルネオ、と言った。ボルネオってどこと訊ねたら、南の島、と言った。みんなが帰ってしまった公園で、私たちは砂場にふたりきりだった。その花はとてもみにくいの。ヨウちゃんは言った。そして話した。その花がどんなにみにくくて、どのくらい大きくて、どれほどひどいにおいがするのか。帰らなきゃ、と私は言った。ごめんねと言って立ちあがり、また明日ねと手をふった。
 次の日、砂場に大きな花が咲いていた。花からは、何かが腐ったようないやなにおいがした。でもみにくくはなかった。ヨウちゃんはいつまで待っても来なかった。