ごじゃはげ

日記と雑記とみじかい創作

【100w novel】酒呑童子

「お坊様、どうぞどうぞ」
 勧められ、つい一口酒を舐めてしまった。そこからはもう止まらなかった。喉を焼く酒の甘い香りに、かつての快感を思い出した。法衣は乱れ、盃は乾く暇もなく、ただただ愉快でたまらなかった。俺は落ちていた鬼の面を付け、一晩中踊ってみせた。
 翌朝、目を覚ますと面が外れなくなっていた。「鬼がいるぞ」と騒ぎになった。痛む頭と重い身体を抱え、鬼は必死で逃げた。もう戻れなかった。手には新しい酒瓶を携えていた。