ごじゃはげ

日記と雑記とみじかい創作

【100w novel】庭仕事

 庭仕事をしていたら、種を植えたおぼえのない場所から、ちいさな芽が吹いていた。変だなと思ったけれど、ためしに水をやって育ててみることにした。芽はぐんぐん伸びて葉をつけて、やがて真っ赤な花を咲かせた。花は水をやるたびわたしにむかって、「愛しているよ」と囁いた。「愛しているよ」「とっても憎い」「お前を許さない」「愛しているよ」こういうおしゃべりなところが嫌だったのよね、と私は思う。花のしたに埋まっているあの人を思い出しながら、わたしは鋏でぱちんと花の首を切る。